ある晴れた日、イセリアが学園からアパートに何時もの様に帰宅すると、一枚のノートの切れ端が机の上に置いて有った。
「あら、何でしょう、これは。朝には無かった筈ですのに…。」
同居中の使役ゴーストの鋼三郎の仕業かと一瞬思ったが、彼から置手紙を貰う必要も無い。
何せ、何時もアパートの中では一緒なのだから。
不思議に思った彼女は、その切れ端を手に取り、読み始めた。
Hola! Que' tal?
最近、調子はどー?
あんまり時間さけなくて、暇にさせて仕舞ってゴメンね。
ああ、そうそう。
今回、君に手紙を書いたのは、大袈裟に言うと、秘密を暴露して貰おうと思ってるから、なんだ。
出生だとか、そーゆー立派な大仰な秘密じゃ無い。
君が何時もひた隠しにしている事、それを今回曝け出して貰おうと思ってるんだ。
…心当たりが有るだろ?
うん、つまり、口調の事。
もっと詳しく言うと、君が隠している方言の事だ。
君は必死に田舎の方言を隠し通そうとして居るだろう。
コンプレックス、と言うものか、それとも都会人ぶりたいのか、そこは私には分かりかねるけどね。
だが、しかしっ。
今回だけは、喋って貰おうと思う。
私は最初は君を、世間知らずの本当のお嬢様にしたかった。
有る歴史上の明言の様に、「米が無いならステーキを食べれば良いじゃ無い」
な女の子にしたかったんだ。
けど無理だったよ。
どうにも、私の性格では駄目らしい。
段々君の性格や行動は軌道から外れて行き、「米が無いから小麦粉を焼いて生活してます」
な感じになって来て仕舞った。
………。
そっちの方が居心地が良いんだ。
やっぱり。
やや、すまないとは思う。
思…う。
ウン。
そんな訳でだな。
少し話が脱線した気もするけども、私も最初は君にその方言を喋らせようとは毛頭、思ってなかったんだよ。
いや、だが。
喋らせる、と決めた。
もう決めた。
まあ…それでも滅多に君はその言葉では喋りたくは無いだろうから、今回だけ。
覚悟を決めてくれ。
では、
Hasta luego
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と、言う訳で。
(わっ、と脅かされて)
ぎゃあ、なにょうするだに!
ちいと気ぃ抜いしがつらぁ、おんしゃあはっ。
んだぁもお、おらぁやっきりこくだでよー!?
……。
………!
(息を飲み、やられた!と言う表情)
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(ってか、何故私(背後)までロールしているんだろう(苦笑)